動詞 bulldozeについて
現在ではbulldozeといえば、土木工事(earthmoving)に使用する機械のbulldozerを直結して想起しますが、今回もう少し検証してみたいと思います。
次の文はHemingwayの作品”Moveable Feast”( 『移動祝祭日』 )16章に出てくるone sentenceです。
――The bulldozing of three people’s hearts to destroy one happiness and build another and the love and the good work and all that came out of it is not part of this this book.
文章の前後が不明なのでわかりにくいかもしれませんが、下記に試訳してみます。
――3人 (*妻と長男、新たな恋人) の心を手荒く扱って (結果として) 一つの幸せ (*今の家庭) を壊し新たな幸せと愛 (*新たな恋人との生活) と素晴らしい作品を作り上げた事やそのことから生じたすべての事はこの作品の一部ではない。
“Moveable Feast” の書かれた時期は1925年から1926年。土木機械としてのbulldozerが発明されネーミングされたのは1930年、米国Cummins, Inc.によります。
そもそもBulldozeが動詞として使用され出したのは1800年代 (19世紀)で、当初の意味は「手荒く物事を強行する」でした。ちなみに語源については、牡牛 (bull) が出番が無くて居眠り (doze) するくらいに人間が荒々しい事をすると言う所から出て来たようです。
つまり執筆中のHemingwayにはbulldozerと言う機械はまだ全く頭になく、この文においてbulldozingと言う単語を我々現代人の持つ感覚のbulldozerの意味で使ったはずは無く、あと数年でBulldozerという土木機械が市中に出回り出すとは想像だにしなかった筈です。
コメントを残す